副業の確定申告の収入と所得の違いを知る

2020/06/22
仕事の内容により税金の種類が異なる

友人K子は、この不況で勤務先から経費削減による残業禁止命令が出て、収入が大幅にダウンしました。「副業でもしないと、生活がきびしい。副業するにあたって注意することがあったら教えて」と泣きついてきました。私は友人の間ではいつも「お金の駆け込み寺」的役割です。ひとくちに「副業」といっても、仕事の内容により税金の種類が異なり、押さえるべきポイントが異なります。

原稿執筆料やアフィリエイトによる広告収入などは「雑所得」という分類になります。イメージとしては内職系の仕事です。会社のお給料以外の収入の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要となります。

20万円は「収入(入ってきたお金)」ではなく「所得(利益)」である点に注意が必要です。税金の世界では、収入から必要経費を引いた利益のことを「所得」といいます。

例えば、ホームページにグルメ情報の原稿を書く副業をしていて、その原稿料が年間25万円、交通費や資料代など経費が6万円かかったとすると、利益は19万円ですから、確定申告は不要ということです。

ただし、原稿料から所得税が源泉徴収されているなら、確定申告で税金が戻ってくる場合もあることを覚えておいて。金額にもよりますが、数万円戻ってくるケースもあるので、面倒でもやってみましょう。

同じ副業でも「お給料」をもらうタイプの仕事がありますね。例えば、コンビニの店員、レストランのスタッフなど「アルバイト系」です。こうした副業でバイト代をもらっていたら、金額にかかわらず確定申告の必要があります。「2ヵ所以上から給与の支払いを受けている人は、原則として確定申告の必要がある」という税金のルールがあるからです。

内職系の雑所得と同様に、バイト先から源泉徴収されていたら所得税が戻ってくるケースもあるので、それをモチベーションに申告しましょうね。

申告書のある部分に注意!

確定申告を面倒でもちゃんとやったほうがいい理由はもうひとつあります。申告しないで放っておくと、本業の勤務先に副業をしていることが分かってしまうことがあるからです。キーワードは「住民税」です。

会社員の場合、住民税は給与天引きされますね。あなたが住んでいる自治体から、本業の勤務先に住民税の金額が通知され天引きが行われる仕組みです。その書類には住民税の金額だけでなく、所得の内訳も記載されているため、雑所得があると勤務先に知られてしまうこともあり得ます。100%バレるとは限りませんが、知られる可能性が高いことは確かです。

でも大丈夫!防ぐ方法はあります。確定申告をして、申告書のある部分にチェックをすれば、勤務先に知られずにすみます。申告書の第二表の左下に「住民税に関する事項」という欄があります。ここの「給与所得以外の住民税の徴収方法の選択」の項目で「自分で納付(普通徴収)」にチェックしましよう。

ここにチェックすることで副業による収入(雑所得)に関する住民税の通知が自宅に届くようになり、その分は自分で納付することになるのです。注意したいのは、お給料が支払われるアルバイト系の場合です。

本業も副業も「給与」だと、副業の住民税を自分で納付という対策はとれません。本業の勤務先が就業規則で副業を禁止しているなら、内職系でもアルバイト系でもやらないほうが安全ですね。